堂坂ヨシ子さんの「五木の子守歌(正調)」 [素敵な出会い]
「五木の子守歌」は熊本の球磨郡五木村に伝わる子守歌。
私も子供の頃から、なんとなく口ずさんできたけれど、一般的に知られてるメロディは、戦後、古関裕而氏によって採譜されたものだそうです。この歌の正調(原曲)を唄い続けている堂坂ヨシ子さん(94歳)の歌を、いつか聴けたらいいな...と思っていたのですが、1月末そのチャンスをいただきました。
1月末から一週間の人吉滞在中、いつも応援してくださってる永田栄子さん(五木村の保健士さんでもありシャンソンも歌う素敵な女性!)が、堂坂ヨシ子さんに連絡を取ってくださり、翌日五木村へ。雪が降る寒い朝、永田さんの車で五木村へ向かい、ヨシ子さんのお宅に到着すると、ヨシ子さんと息子さんのお嫁さんがあたたかく迎えてくださいました。
(歌を聴かせていただいた直後のスナップ)
ヨシ子さんは94歳とは思えない程お元気で、コタツを囲んで色んな話しをしてくださいました。時々難しい球磨弁が出ると、引率してくれた永田さんが「○○○っていう意味ね...」っと同時通訳!
歌詞は80番くらいあるとか、その昔NHKのステージで「五木の子守歌」を唄った際、移動するステージの上で怖かった話しとか...etc、楽しいエピソードを伺った後、「もう歳だからあまりうまく唄えんよ....」っと言いながらも、おもむろに「五木の子守歌」の歌が始まりました。
(ヨシ子さん&永田さん)
歌が始まった途端、私の胸の中が熱くなり、涙が溢れだし、感動で震えが止まらなくなりました。目の前でヨシ子さんが唄ってる声を体で感じたら、私の心と体に沁みて来て....。
そしてヨシ子さんが唄い終わったあと、我慢出来なくて大きな声で泣いてしまいました。心と体が解放された気分でした。泣き終わったら今度は嬉しくて、みんなで笑ってしまいました!
人の歌を聴いて、感動してこんなに泣くなんて、生まれて初めての経験。
94歳のヨシ子さんの人生と思いが詰まったやさしい声、自然体でさりげなくて、心にぐっと残る歌。私が探していた歌は、これだ!って思いました。
帰りに五木村のおそば屋さんでおそばを食べてたら、若い女性の店員さんが「五木の子守歌」(現代版)をアカペラで唄ってくれました。このお店では一日に定期的に、子守歌を唄ってお客様に紹介するコーナーを設けているそうです。こんな風に若い世代にも受け継がれ、みんなで「五木の子守歌」を大切にしてるなんて、とっても素敵だな〜と思いました。
そして帰り道、川辺川のダム計画で水没予定地からの移転で、五木村の新しい家や新しいお墓が目立ち、ちょっと不思議な気持ちになりました。ダム計画は中止された様ですが、この美しい川辺川と五木村、「五木の子守歌」と共に、いつまでも地球の中で、ずっと輝いていて欲しいです。
後日、永田さんが「ヨシ子さんの衣装を着て唄ってる姿も見て欲しい!」と写真を送ってくれました。2年前の1月、娘姿の衣装を着たヨシ子さん、とても素敵です。
ちなみに当時は子守りする際、手ぬぐいを頭にまくのは、背中におぶってる赤ちゃんに髪の毛がかからないように&シラミが落ちない様に(当時は当たり前の事だったのでしょうね)...との配慮だそうです。決しておしゃれの為に手ぬぐいをまいてるんじゃないとの事で、これもヨシ子さんに教えていただきました。
一週間の人吉滞在の最後に、素晴らしい経験をさせてもらいました。
連れていってくださった永田さん、歌を唄ってくださったヨシ子さん、素敵な時間をありがとうございました!
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